私の初めてのワークキャンプは寒さとの戦いから始まった。
ナイロビでオリエンテーションを終え、みんなの荷物とワークキャンプの食材ですし詰めのバンでキャンプ地に向かっていたら、突然外が真っ白になる。
「えっ火事!?」と思っていたら、なんとすごい濃い霧。この熱帯のアフリカで霧を見るなんて。
バンはどんどん山道を登り、着いた所は標高3000mの村キラシャ。私たちが寒さに震えているにも関わらず、地元の人は初めて外国人を見る興奮で大盛り上がり。
歓迎式の後、温かいウガリ(トウモロコシ粉をねった物)とスープがふるまわれ、私たちも何とか落ち着く。
しかし・・・サンサンと降り注ぐ太陽、どこまでも続く平原を期待してきた私に、この土地はあまりにも違いすぎた。
翌日、さっそく仕事が始まる。
仕事場は貧しい子供達が通うフリースクール。
私たちが来るということで、村人総出でお出迎え。
子どもたちも授業なんてそっちのけで「ねーねーどこから来たの?」「名前は?」などと聞いてくる。
もうスター気分。
片言のスワヒリ語で返事をすると、どっと歓声があがる。
こんな事日本ではありえない。本当に歓迎されているという実感がわき、心が温かくなる。
仕事はというと、プロの職人さん(大工さん)がいるので、私たちがやれる事は教室の土台の穴掘りを手伝うのと木材を運んでくるぐらい。
しかし、仕事をしていてもすぐに呼ばれて、日本の話をしろやら、歌を歌えなどと言って働かせてくれない。
最初、私は貧しい子の為に教室をつくりに来たんだから、仕事をさせてなどと断っていたが、しばらくすると、もしかして私が本当にしなければならない事は、この人たちと話して楽しませてあげる事なんじゃないかと思うようになる。
1回もこの土地から出たことのない、1回も外国人に会ったことがない人達にとって私達の存在はすごく貴重で、学びがいのあるものに違いない。
そう思い、それからは地元の人と話すことを私のキャンプの第一目標にすえる事にする。
毎日毎日仕事場に行っては世間話。 この人たちにあせりというものは全くない。
仕事があろうがなかろうが世間話をするのが一番の楽しみらしい。
そして、そこで気付いた事がこの人たちの頭の中には外国人=お金持ちという図式がインプットされていて、私達に会う度にお金を要求してくるのだ。
援助をもらうのを当然のように考えており、学校の生徒にも私たちにもらえる物はもらっといでという教育をしていた。
という事で、私たちボランティアはかっこうの餌食となる訳だ。
ボランティアの中には本当に頭にきて怒鳴ってしまう人もいた。
また要求されるままに与える人もいた。
しかし、私にはどうも判断がつきかねた。
確かに彼らに比べれば私たちの生活ははるかに豊かで、快適なものだろう。
彼らが今からどんなにがんばっても、私たちのような生活を手に入れられる可能性は低い。
というのも、ケニアでは大学を出ていないと仕事に就けない。
しかし、貧しい子達にはそんなチャンスはまずない。
私たちが教室を1個つくったところで、その子たちの人生は変わらないのだ。
ジレンマにぶちあたる。その人たちが私たちを歓迎してくれたのは、私たちのお金が欲しいからだろうか。
奉仕とは何なのか?ボランティアとは意味のあるものなのか? 思い悩む。
結局、答えの出ないままワークキャンプ最終日を迎える。
教室は無事完成!中の壁にはボランティアそれぞれがコメントを書きこんで私達の足跡を残す。
閉会式の後1人の女の子が私のところにかけよって来た。
キャンプ中1番仲の良かった子で、また一番物を要求された子でもあった。
その子は私のつけていた髪のゴムを指さして「私にちょうだい」と言う。
最後の最後まで私の物がほしいのか・・・。頭にきて断る。
その子はぽろぽろ涙をこぼして自分の髪ゴムを見せてきた。
それはふつうの輪ゴムで、しかも今にも切れそうなぐらい傷んでいる。
よく見るとクツの指の部分も穴が開いて、親指と人差し指が外に出てきている。
あーこの子は極限の生活をしているんだ。
親に頼めば何でも欲しい物が買ってもらえる私たち日本の子どもとは違って、子どもながらの要求心をどこにもぶつけないでいる子どもたちなんだ。
そう思うと私にできる事ならやってあげようという気になる。
うだうだ考えててもしかたがない。
私が持っている物、私ができる事をできる範囲で提供する。
これが私の中での解決策となった。
アフリカ社会は非常に貧しい。
日本のように自分の物、人の物をはっきり境界線を引いて分けてしまえば生きていけない社会なのだ。
持てる者は持てない者に援助をし、持てない者はそれに出来る限りの形で返そうとする。
そんな相互依存形の社会に出会えた貴重な体験だった。
もし彼らにボランティアに参加する機会があれば、最高のボランティアになれると思った。
(2004.8)
【情報提供】 特定非営利活動法人
NICE(日本国際ワークキャンプセンター) |